書名:相続人の妻
著者:清水一行
発行所:光文社
発行年月日:2000/3/20
定価:590 円+税
清水一行という作家は企業小説が得意。結構気にいって良く読んでいる作家です。兜町の名門証券玉文グループは、相場師玉木文吉が一代で築き上げた。相場師として伝説的な人物、その後長男の由晴がグループの中心企業玉文証券、弟の耕司は系列の玉文産業を継ぐ。バブルの崩壊で証券不況下、そのバブル期に強引に進めて来た玉文証券も経営危機に陥る。倒産寸伝の体たらく、由晴は責任逃れに終始する。やむを得ず協力を仰いだ、耕司は経営責任を問うと、玉文証券を乗っ取ろうとしているという由晴の妻の讒言に、兄弟は敵対関係に。ここに名家出身の由晴の妻が絡んだ骨肉の内紛劇が起こる。どこでもありそうな話であり、貧乏人には全く縁の話です。でも昭和が終わる頃のバブル崩壊期を舞台に展開される物語に。つくづくと貧乏人で良かったとおもう。持てる者の悩みもまた大変。何時如何なる時にもやっぱり煩悩が寄せてくる。そんな感じがした。