書名:八朔の雪 みおつくし料理帖
著者:高田 郁
発行所:角川春樹事務所
発行年月日:2009/5/18
ページ:271頁
定価:552 円+税
享和二年(一八〇二)七月一日。淀川が決壊した。多くの死者が出た。漆師だった父伊助、母わかもこの水害で亡くなった。幼友達の直江(老舗のいとはん)も行方不明になったままで、今でも生きていると信じている。神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」。店を任せされている澪は天涯孤独の身であった。
幼い頃占い師が澪と直江の2人を占った。直江は「旭日昇天」凄く良い時は凄い運、でも悪いときはとことん悪い。澪は「雲外蒼天」いろいろ障害が出てくる、しかし最後には真っ青な空が見える。この小説の登場人物は澪をはじめ店主の種市、以前の勤め先大坂の「天満一兆庵」の女将のよしなど定番の人々と、ライバルとして登場する名料理屋「登龍楼」それらが繰り広げる物語。いやな目にあってもくじけず、ひとつひとつ解決策を見つけていく健気な澪の生き様は読む人に勇気を与えてくれる。江戸を舞台に上方言葉も流れてきて、なかなか面白い。