書名:冬を待つ城
著者:安部 龍太郎
発行所:新潮社
発行年月日:2014/10/20
ページ:433頁
定価:2000 円+税
陸奥国には糠部郡に「四門九戸の制」一戸から九戸があります。現在の青森県・岩手県にあたります。
一戸・・・岩手県二戸郡一戸町
二戸・・・岩手県二戸市(旧二戸郡)
三戸・・・青森県三戸郡三戸町
四戸・・・現存せず(青森県旧三戸郡内にあったと推定)
五戸・・・青森県三戸郡五戸町
六戸・・・青森県上北郡六戸町
七戸・・・青森県上北郡七戸町
八戸・・・青森県八戸市(旧三戸郡)
九戸・・・岩手県九戸郡九戸村
東北の戦いの歴史は、酷い。「征夷」大将軍・坂上田村麻呂の侵攻、源頼義・義家父子による前九年の役、鎌倉武士が大挙して押し寄せた平泉の討滅、豊臣秀吉の「奥州仕置」、錦の御旗を翻す官軍に敗れた戊辰戦争。中央政府はいつの時代も「征伐、征服」として東北の自由を許さず、いつも屈従を強いてきた。
豊臣秀吉の「奥州仕置」のひとつがこの小説の主題です。南部氏一族の九戸政実が奥州最北端の九戸城(3000人)に立てこもり秀吉軍15万人に包囲されて戦った。主人公は政実の弟、久慈政則。彼の目を通して九戸政実の乱を描く。九戸城(岩手県二戸市)に立てこもる政実の、どう見ても無謀な戦い。でも豊臣軍にも思惑が、そして政実には「奥州の大義」のために命を懸けた。秀吉による天下統一の総仕上げ、といわれるこの戦いは、実は朝鮮出兵を見据えてのものだった……。城主・政実は、九戸家四兄弟を纏めあげ、地の利を生かして次々と策略を凝らした。あとは包囲軍が雪に閉ざされるのを待つのみ!著者の謎解きが面白い。九戸政実の乱は初めて知りました。
冬を待つ城 安部龍太郎著 戦国の謎 九戸政実の乱に迫る
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO80305240Z21C14A1MZB001/