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天才

書名:天才
著者:石原 慎太郎
発行所:幻冬舎
発行年月日:2016/1/20
ページ:226頁
定価:1,400 円+税

石原慎太郎は政治家よりやっぱり、作家の方が優れていると思う。この本は田中角栄を書いた本です。一人称で田中角栄が一人自分の一生を語る構成になっている。数字に強い、駆け引きが上手い、義理人情を欠かさない。浪花節が好き。それを武器に激動の戦後政治を牽引した角栄。自らも政治家として田中角栄と相まみえた石原慎太郎が角栄の特徴を浮き彫りにしている。比類なき決断力と実行力で大計の日中国交正常化を実現し、関越自動車道や上越新幹線を整備、生涯に30以上の議員立法を成立させる。100名以上の国会議員が所属する派閥を率い、大平・鈴木・中曽根内閣の誕生に影響力を行使。長らく「闇将軍」「キングメーカー」として政界に君臨した。表題にもなっている天才というのは政治家としての天才。

司馬遼太郎さんの『峠』という作品に、越後長岡藩の家臣だった河井継之助が若い頃、上越国境の三国峠を雪崩に巻き込まれながら死ぬ思いで越えて江戸に出てくる話がある。上越新幹線みて河井継之助が何を思うか?

金権政治、ロッキード事件と毀誉褒貶半ばする角栄を石原慎太郎の視点から描いている。強烈な個性をもったリーダーが不在の今、著者のかなわぬ希望かな?

石原慎太郎がいま明かす「私が田中角栄から学んだこと」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48554