書名:星火瞬く
著者:葉室 麟
発行所:講談社
発行年月日:2014/8/12
ページ:379頁
定価:660 円+税
主人公は若き少年、アレキサンダー・フォン・シーボルト。安政6年(1859)、13歳のアレキサンダー少年は、63歳になる父親のフィリップ・フランツ・シーボルトに連れられて、長い船旅を終えて、初めて日本、長崎に上陸する。フィリップ・フランツ・シーボルトは30年前オランダの医師(実際はドイツ人)として長崎に駐留して、鳴滝塾で蘭学医学などを教えていて弟子もたくさんいる。日本が開国したことでシーボルト事件で入国禁止になっていたのが解けた。ことで再度日本に来ることになった。父親のフィリップ・フランツ・シーボルトは幕府の政治顧問などをして欧米列強に対して幕府がどうすれば良いかなどの相談に乗っていた。
主に横浜を舞台としてアレキサンダー少年が見聞きする幕末を動かした人物達の動向を綴っている。つぎつぎと少年の前に清河八郎、小栗忠順、勝海舟、高杉晋作がロシア人のミハイル・バクーニンに会いに来る。バクーニンは無政府主義者で革命家。シベリア流刑を脱走し、日本へ滞在しているところ。その後米国を経由してヨーロッパに帰り革命を行うつもり。ロシアの対馬占領事件をどう解決するか小栗忠順とバクーニンの交渉、勝海舟と小栗忠順との出世争い。虚々実々のやりとりが面白い。役者は揃っているが、ちょっと強引に持ってきた感じもする。幕末の世相が良く描けている。面白い本です。