書名:影踏み鬼
新撰組篠原泰之進日録
著者:葉室 麟
発行所:文藝春秋
発行年月日:2012/1/10
ページ:246頁
定価:1500 円+税
「新撰組」を扱った作品です。やっぱり九州出身の篠原泰之進を主人公にしています。近藤勇率いる新撰組に加入して「人斬り」を行っていた。篠原泰之進。近藤勇、土方歳三達とは方向性の違う伊東甲子太郎に誘われて入隊した経緯がある。新撰組も設立当初は尊皇で一致していたが、武士出身でない(百姓)近藤勇、土方歳三達は段々侍に出世したい欲望が出てきた。天皇より幕府びいきになってきた。伊東甲子太郎の方が学があり、性格も穏やかで弁も立ち頭も良い。それに反発した伊東甲子太郎一派は新撰組を脱退する。そして孝明天皇の御陵を警護する御陵衛士になって尊皇の意志を貫こうとする。
そんなとき伊東甲子太郎は近藤勇、土方歳三の2人に近藤の妾宅に呼び出されのこのこと出て行く。坂本龍馬が近江屋で暗殺されて3日後、妾宅からの帰り道新撰組に取り囲まれて暗殺されてしまう。伊東甲子太郎の遺体は放置してあり、篠原泰之進他伊東一派はそれを収容しにいく。そこには新撰組が大勢で待ち受けていた。
新撰組という組織も一枚岩ではなく、殺伐とした中で最初の理想とは違った形に変形していく。維新後は、秦林親(はた しげちか)と改名して84才まで生き延びた新撰組隊士の生涯を描いている。
「生きている限り、人は何事かをなすことができる」
自分の普通を貫いて生きられるやつは格好いい 『影踏み鬼 新撰組篠原泰之進日録』 (葉室麟 著)
http://books.bunshun.jp/articles/-/3252