書名:薩長史観の正体
歴史の偽装を暴き、真実を取り戻す
著者:武田 鏡村
発行所:東洋経済新報社
発行年月日:2017/9/21
ページ:189頁
定価:1,500 円+税
「「薩長史観」とは何か。明治政府がその成立を正当化するために創り上げた歴史である。それは、薩摩や長州が幕末から明治維新にかけて行なった策謀・謀反・反逆・暴虐・殺戮・略奪・強姦など、ありとあらゆる犯罪行為を隠蔽するために創られた欺瞞(ぎまん)に満ちた歴史観であるということである。」という著者の言葉にあるように、「薩長史観」をもう一度徹底的に検証しておく必要がある。
とくに徳川幕府が大政奉還をした後でも武力を行使して幕府を倒しに進んだ薩長。江戸無血開城しながら当時一番の尊皇であった会津藩、庄内藩を攻め滅ぼして暴虐・殺戮・略奪・強姦を欲しいままの振る舞い。戦った会津藩士の遺体を埋めて弔うことを許さず、放置したまま。そしてそれを片付けようとしたものたちも殺された。そして負けた会津藩の人々を斗南藩を立てたて押し込めた。日本中でも一番生きていく条件の悪い貧乏な所。この実態は薩長は何も語っていない。
明治維新を考えるとき、薩長が関ヶ原、大坂の陣と同じように自分たちの国盗り物語を考えなければ、徳川慶喜の大政奉還で、諸藩による連合政権を作って国内を一致団結して外国の脅威に立ち向かっていけたのでは?
徳川幕府にも人材も豊富で、諸外国の情報もかなり詳しく知っていて、富国強兵策もいろいろとやっていた。狂気吉田松陰のような尊皇攘夷の志士達をもう少し冷静であれば違った政権の交代が起こったのではないか?日本は西洋人などと違って皆殺しの政権交代というのは殆ど起こっていない。でも薩長の京都を舞台にした「人斬り」「戊申戦争」を見るととても日本人という感じがしない。かなり西洋かぶれしていたんか?もしくは清国のアヘン戦争に恐怖を持っていたのか?自分たちの方針以外を認める勇気がなかったのか?明治維新を違った視点から考えることが出来る本です。
本書より
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[薩長史観1]幕府は無力・無策のまま開国したために倒幕運動が起こった
[真相]幕府は薩長に比べて遥かに開明的で、開国による近代化を進めていた
[薩長史観2]吉田松陰は松下村塾で幕末志士を育成した大教育者である
[真相]松陰は、暴力革命を礼賛するテロの扇動であった
[薩長史観4]西郷隆盛は「無私の心」で明治維新を成しとげた最大の功労者である
[真相]西郷は僧侶を殺し、江戸を混乱させ、同調者を見殺しにした策謀家だ
[薩長史観17]孝明天皇の病死で、英明な明治天皇が即位して日本は夜明けに向かった
[真相]孝明天皇は、薩摩と岩倉具視の陰謀によって毒殺された可能性が高い
[薩長史観19]「討幕の密勅」は正式なもので、天皇から幕府討滅の宣旨が下された
[真相]討幕の密勅は偽造されたものであり、その真相は文章に示されている
[薩長史観20]大政奉還は、その場しのぎの愚かな決断である
[真相]大政奉還は「慶応維新」というべき歴史的偉業であり「明治維新」より優れていた
なぜいま、反「薩長史観」本がブームなのか
http://toyokeizai.net/articles/-/187322