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大西郷という虚像 「明治維新という過ち」完結編

書名:大西郷という虚像 「明治維新という過ち」完結編
   「官」と「賊」往復したこの男を解明せずに維新の実相は語れない
著者:原田 伊織
発行所:悟空出版
発行年月日:2016/6/23
ページ:311頁
定価:1,500 円+税

前著『明治維新という過ち』はかなりはしょって書いてあるので明治維新の概要を知っている人が読んで初めてようやく判る内容になっている。
「明治維新のもう一方の担い手である薩摩はどうなのか?」
「吉田松陰や木戸孝允がテロリストなら西郷はどうなのか?」
「大西郷は明治新政府にとって好都合な虚像ではないのか」
などの疑問には答えていない。そんな著者注文して執筆を依頼し書かれたのがこの本です。
今では明治維新と言われているが、これは昭和維新時代が最初で、御一新と言われていた。また作家の司馬遼太郎が、明治維新を「革命であった」と評しているか、単なる幼い天皇を人質とした岩倉具視、西郷隆盛、大久保利通らのクーデターだといっている。
ペリーの来航前にすでに西洋との接触はなされており、ペリー来航で初めて日本人がアメリカ人と接したかのような歴史教育は事実と異なるとする。また王政復古の大号令は失敗だったとする。ちょっと力量がないので説得力に欠ける部分もあり、ただ違った視点で見られることも事実です。著者の意気込みが感じるが、論理的な記述でないところもあります。

本書より
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①明治維新を行った尊皇の志士とは狂暴なテロリストに過ぎず、新政府の構想などの展望を持ってはいなかった。
②幕府には有能な外交経験者と政策能力のある有能な人材がいて、明治政府を支えたのはこれらの人物である。これに反して薩長には、新政府を支える人材はいなかった。
③薩長が討幕したのは、尊皇攘夷などのためではなく、関ヶ原の戦いなどで敗れた藩の復仇に過ぎない。

西郷隆盛、実は神経質で執念深い男だった
http://toyokeizai.net/articles/-/127581