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関東大震災実記

書名:関東大震災実記
著者:渋田 常太郎
発行所:有朋堂書店
    長文堂書店
発行年月日:大正12年10月10日
ページ:225頁
定価:壱圓八十銭

関東大震災(1923年9月1日)が起きて1ヶ月程経った時に出版された関東大震災の記録です。被害の大きさは東京ばかり宣伝されているので横浜の深刻な被害は薄れていますが、現実は横浜の方が大きな被害だった。当時1923年(大正12年)8月24日の加藤友三郎首相の急逝、同年9月1日の関東大震災発生という混乱状態だった。首相がいなかった。そこで急遽9月2日退役海軍大将の山本権兵衛が首相となった。

被害の状況が淡々と事実を述べてあり、かなり落ちついた筆運びで書かれている。朝鮮人暴動騒ぎの発端、船橋地区に集団の日本人が逃げてきたそれを朝鮮人だと大騒ぎしたことが発端になっていることなども書かれている。また後藤新平が東京大復興にあたって被害のあった地域を全て国で買い上げ、国有地にしておいて再開発するという案を考えている。関東大震災は人間の歴史で考えると完全に記憶が薄れてしまっている事象、

したがって当時の経験は生かされないことが多いと思うが、震災直後の記録は目を通しておくと良くわかるのではないだろうか?
今の人間は元資料ではなく2次、3次資料にしかあたれなくなっているので本当の真意が伝わらないようになっている。当時の人がどんな目にあって、どんなことを考え、どんな行動を取ったのか?そんなことが判る本です。

国立国会図書館デジタルコレクション - 関東大震災実記
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/981876