書名:明治維新の正体
徳川慶喜の魁、西郷隆盛のテロ
著者:鈴木 荘一
発行所:毎日ワンズ
発行年月日:2017/4
ページ:318頁
定価:1,500+税
明治維新については勝者の理論で薩長を賛美した言論が多く、それを信じている人が多い。しかし勝者が作った歴史だけを見ていて本当のことが見えてくるのか?明治150年の今年、少し考えてみることも必要ではないか。水戸藩の尊皇攘夷を横からかすめ取った長州、何故か水戸藩35万石、長州藩35万石、彦根藩35万石、御三家、外様大名、親藩それぞれが幕末、それぞれの立場で動いた。徳川慶喜の大政奉還で、徳川から島津家、もしくは毛利家に政権が転がり込むと考えていたものが殆ど、でも何故か島津家、毛利家は蚊帳の外、そこには大久保利通と西郷隆盛が主君をそっちのけでしゃしゃり出てきた。長州でも桂小五郎、伊藤博文が出てきた。じっくり考えてみるとこの行動原理は何だったのか?幕府と各藩の合議性で運営していこうとしていたとき、西郷の強力な主張で幕府を滅ぼすという選択によって、明治維新と言われる政変が起こった。
この本は明治の新政府によって行われたとされている事についても幕府の要人が外国との外交、日本の行く末を考えた産業振興策などを掘り起こしながら、江戸時代は封建制で遅れた、徳川幕府は駄目な政府という宣伝の嘘を暴いている。なんと言っても江戸時代というのは260年間にわたって戦争もない平和な時代が続いたのだという事実。そして明治以降戦争、戦争の歴史150年間で半分は日本には関係ないが世界は戦争の時代を150年続けている。明治維新の正体を暴いている。幕末史も司馬遼太郎の偏った司馬史観だけで見つめてはいけないことが判る本だと思う。司馬遼太郎の歴史は歴史ではなく物語、語り部だということを忘れてはいけない。面白おかしく興味を持てるように物語を作っている。
本書目次より
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第1章 維新の先駆者徳川慶喜;
第2章 日米和親条約を容認した徳川斉昭;
第3章 通商条約の違勅調印;
第4章 吹き荒れる攘夷の嵐;
第5章 慶喜が条約勅許を得る;
第6章 イギリスが薩長を支援;
第7章 徳川慶喜の登場;
第8章 大政奉還の思想;
終章 万民平等の実現