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現代訳 宗久翁秘録

書名:現代訳 宗久翁秘録
著者:山口 映二郎
発行所:商取経済通信社
発行年月日:1988/3/25
ページ:423頁
定価:1500円+税

本間宗久翁は「本間様には及びもないが、せめてなりたや殿様に」と謳われた、酒田本間家の財政基盤を築いた人物と言われています。明治維新の頃庄内藩は維新軍と戦って負けなかった藩と言われていますが、その軍資金を調達したのも本間家。半端な藩より大きな財政力をもってたのですね。

この本は米相場の相場論を宗久翁が残した唯一の遺稿で、晩年、同郷の善兵衛に対して語った相場論を、善兵衛が書き纏めて現代に伝わったものです。それを現代訳したのが本書です。
宗久翁秘録は相場についていろいろな秘伝を書かれたものですが、難し事は少しも書いていない。淡々と当たり前のことが書いてある。そして売りと買いの2つについてどんなとき売り、買い。その逆などを色々な場面を想定して書いてある。そして誰でも当然を考えることが書いてある。でもその極意は買い、売りのタイミングと決断力が大抵の人が持っていない。

したがってこの秘録を読んでも、相場に勝てない。本間宗久翁は本間家の財産を大きくしたが、その後をついだ甥の本間光丘は米相場には手を出していない。そして本間宗久翁のやり方を踏襲しなかった。
何故か?相場師は本間宗久翁みたいな天才に出来ること。平凡は本間光丘にはまねすることができない。そのことを十分わきまえていた。したがって何代も相場師が続いたわけではなく本間宗久翁だけが特別な例だった。そんなことを踏まえてこの本を読むとみえてくるものがあると思う。宗久翁秘録は、門外不出の書だった。

仕掛けを急ぐな、買い場が到来しても3日待て
コメ相場に取り組む基本姿勢は「買い」 相場で失敗した男の復活を後押し
「酒田照る照る 堂島くもる 江戸の蔵前雨が降る」

(目次より)
1.現代訳宗久翁秘録とは
2.宗久翁秘録抜粋
1)三位の秘伝
2)上げ相場、天井の見様
3)下げ相場の見様
4)通い相場、運び相場の見様
5)売買急ぐべからず、休むも相場
6)利確・損切り
7)慎むべき事
8)人気の偏り、気を転じる事
9)その他
3.原典紹介

現代訳宗久翁秘録
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