書名:三流の維新一流の江戸
「官賊」薩長も知らなかった驚きの「江戸システム」
著者:原田 伊織
発行所:ダイヤモンド社
発行年月日:2016/12/8
ページ:281頁
定価:1500円+税
著者は『明治維新という過ち』『官賊と幕臣たち』『大西郷という虚像』という作品で、今までの明治維新の見方を違った方向から指摘してきた。薩長万歳、明治維新万歳と西洋化、明治政府のやってきたことを絶賛してきた従来の視点から、ちょっと立ち止まって見直してみようという試みです。江戸というシステムは260年平和で戦争も起こしていない。明治維新後は戦争の時代が現在までも続いている。そんな視点で捕らえればこれから世界が向かっていく方向は西洋化、アングロサクソンの世界ではないことが明白。そしてその方向を示してくれているのが身近にあるではないか?一流の江戸のシステムがと。一元主義的な西欧型資本主義が破綻しつつあるいま、世界を江戸の多様性に気付かせる必要がある。
明治維新政府は江戸を全否定して、土深く埋めてしまった。それに完全にだまされて誰もが江戸ほど酷い遅れて社会と思い込んでいる、人類史に例を見ない250年にも及ぶ長期平和を維持した江戸、平和主義の中に尊皇攘夷という名目のテロリストがあっという間に幕府を崩壊させた。そして江戸の全否定。その波に乗った人ばかり、でも江戸のDNAはちゃっと引き継ぐべきものがある。今からじっくり見ていけば、明治は三流。超一流の社会から三流の社会にしたのが明治。
廃仏毀釈というタリバンにも劣る暴挙。よくタリバンを非難するする人々がいるが、薩長のやった廃仏毀釈が暴挙ということを言う人は少ない。また吉田松陰を褒める人はいるが、実はテロリストの典型的なのが吉田松陰。少し事実を調べて見るとよくわかる。京都の市民にとっては幕末の志士といってもごろつきの人殺し集団、テロリスト。今、テロリストというと全部の人が否定するが、幕末はそんなテロリストが横行していた。そして勝てば官軍。そんな人殺し集団が明治政府の要職についていた。という事実はやっぱり知っておかないといけない。
そんなことを気付かせてくれる本です。メジャーではないけれど、見方を変えることの大切さを押してくれる本です。
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【目次より】
☆はじめに:埋められた「江戸」を掘り起こす
☆序章:世界のクロサワを生んだ『羅生門』の雨
☆第一章:「明治維新」という過ち
☆第二章:明治復古政権による「江戸」の全否定
☆第三章:誤解に満ちた徳川幕藩体制
☆第四章:世界が驚いた江戸の社会システム
☆終章:江戸の社会と価値観から学ぶもの
「三流の維新 一流の江戸」原田伊織著 ”歴史は勝利した側が作るもの”
https://blog.goo.ne.jp/egaonoresipi/e/3ae176d80af480263b05d03ea98151a3
幕末の志士たちは「テロリスト」だった
https://toyokeizai.net/articles/-/230326