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本に出会う

壺霊

書名:壺霊(上)
著者:内田 康夫
発行所:角川書店
発行年月日:2008/12/25
ページ:326頁
定価:1600円+ 税

書名:壺霊(下)
著者:内田 康夫
発行所:角川書店
発行年月日:2008/12/25
ページ:336頁
定価:1600円+ 税

内田康夫の浅見光彦シリーズ「壺霊」これは2回目です。京都に10ヶ月滞在して取材の上書かれた作品で京都の街の中で普段出てこない場所だったり、おそろ恐ろしい物語がある場所だったり変化に富んで面白い作品です。また故郷亀岡も「亀岡のひと」とあるキーマンの叔母さんの住んでいる場所として、その亀岡の風景、トロッコ列車、保津川下り、源義経の領地だった篠村(源氏の領地)足利尊氏が挙兵した篠村八幡宮、源頼光が大江山の鬼退治をして首を持って帰る途中老いの坂(丹波と山城の境)にほど近いところに、邪悪な鬼など都にいれてはならないと朝廷から言われて『首塚大明神』などの場面もあって興味を持って読んだ。京都にはいろいろな物語があって、その物語の場所も残っている(なんで、架空の話でも)京都の北の紫野には小野篁の墓と並ぶように紫式部の墓もこんなところもこの物語ではちょっとしたトリックに使っている。
京都に或る老舗の和菓子店、和食、洋食、コーヒーなど有名なところがいろいろ出てくる。京都三条のイノダコーヒーなども。
内田康夫の文章はすごく読みやすく、直ぐに頭に入ってしまう。だから直ぐに抜けてします。多分5年ほど前に読んだはずですが、殆ど忘れていた。まぁ新たな話として読めるから良いか?
山本周五郎、海音寺潮五郎、吉川英治などは4,50年前に読んでいるが未だに会話の内容まで覚えているシーンも多い。何故だろう?若かったから、そうではなさそう。文章力が優れているのかな?簡単明瞭に優しい言葉で書くことによって理解は早いで、咀嚼できないうちに次々読んでしまうところがあるのかも。最近の流行作家はどれも文章を覚えていない。インパクトのある文章、言葉がないのかもしれない。一行で雪国へ連れて行ってくれる文章力は今の作家にはないのかもしれない。

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大原の里に三千院とともに立つ古刹「寂光院」が真夜中に何者かにより放火され、燃え上がる場面の、前途に事件を予告するがのごときプロローグから始まる。


ひさびさの内田康夫です。浅見光彦シリーズ。京都に10ヶ月取材をした。京都とその周辺を舞台にした作品。京都新聞に10ヶ月連載された作品。

いつものように「旅と歴史」の取材で、高島屋にある人気レストラン街「ダイニングガーデン京回廊」の全16店を、1週間かけて食べ歩くという仕事の依頼から始まるのだが、それとともに警視庁刑事局長を務める兄からの内々の依頼があり、老古美術店である正雲堂での事件を解決して欲しいとの依頼。そこには老店主とその息子の専務、その妻、20歳大学生の娘。その娘の母が婚姻の際に持参した紫式部と呼ばれる800年の歴史を持つ青磁の壺も忽然と消えていた。その女性が最後に目撃されたのが、大骨董祭だった。

浅見光彦は京の町屋に寝泊まりして、その母を捜す、京都の町をあちこちと、地元京都でも知らないような面白いところがいろいろ出て来る。またキーワードとして「亀岡のひと」が出て来る亀岡の旧家のモデルとして「へき亭」なども。
京都新聞に掲載するにはなかなか大変だったのでは?相当取材をきっちりした作品だと思う。京都の有名な料理店、料理など微に入り記述してある。旅と料理とミステリーを存分に味合うことができた。ふるさとの亀岡も良く書けていると思った。

へき亭京都亀岡
http://www.hekitei.net/
届きました - へき亭おかみのひとりごと
http://blog.goo.ne.jp/hekitei0889/e/ccf08baba66f9276bb4e4c841a02a491

7階 ダイニングガーデン京回廊 | 京都タカシマヤ
https://www.takashimaya.co.jp/kyoto/restaurant/