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新聞記者

書名:新聞記者
著者:望月 衣塑子
発行所:KADOKAWA
発行年月日:2017/10/10
ページ:221頁
定価:800円+税

同名の映画の原作本、この本を元に映画化されているが、映画の内容とはかなり違って、記者「望月 衣塑子」の生い立ちから、この業界に入って行ってきたことをまとめてある。意識して東京新聞に入社したかった訳ではなく。大手新聞社には採用されず、最終的に入社できた東京新聞に勤めている。たぶん今のマスコミ人はいずれも同じで、入社できたからという動機が一番多いのではないだろうか?

たまたま、大手ではなく、発行部数も少ない東京新聞は他社のに抜きんでてスクープを取ってもそれを一面トップにあげても、信用してくれる人が少ない。大手であればスクープになるけれど、社会に対する影響も少ない。でも大手でない分、小回りがきく、菅官房長官に質問をぶつけ続ける著者。(大手であれば、担当部署でもない著者がその場にいることも出来ないこと)

記者としての歩みをひもときながら、6月8日を境に劇的に変わった日々、記者としての思いを明かす。官房長官会見に彗星のごとく現れ、次々と質問を繰り出す著者。脚光を浴び、声援を受ける一方で、心ないバッシングや脅迫、圧力を一身に受けてきた。演劇に夢中だった幼少期、矜持ある先輩記者の教え、スクープの連発、そして母との突然の別れ…。歩みをひもときながら、劇的に変わった日々、そして記者としての思いを明かす。 空気を読まず、出すぎる杭になる。私にできるのはわかるまで質問すること
この本を読んでいると記者会見の異常さ、そして同業他社の記者達の責任放棄、仕事を真面目にやっていない記者が多くいる。記者の仕事より本社で出世すること。給料が増えることにのみ興味ある人たちばかりという感じがした。政治家も官僚も、新聞記者もそれぞれが全て適当に生きている人ばかりになってきた世の中で、ちょっとした清涼感を感じた。

目次(本書より)
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第1章  記者への憧れ
演劇に夢中になったころ
小劇場へ、母と
人生を方向付ける一冊の本との出会い
記者の仕事をしていた父からの言葉
吉田ルイ子さんのあとを追って
TOEFLの得点に愕然
留学先での大けが
大学のゼミで感じた核抑止論ありきのマッチョさ
入社試験は筆記が軒並み不合格……
新人研修で新聞を配達
記者になり、いきなり後悔
ヒールにスカートの新聞記者
県警幹部との早朝マラソン
「今すぐ車から降りろ!」

第2章  ほとばしる思いをぶつけて
鬼気迫る形相で警察に挑む先輩記者
情熱をもって本気で考えるかどうか
贈収賄事件で警察からの探り
県版からはみ出せ!
読売新聞からの誘い
極秘に手に入れた不正献金リスト
他紙との抜きつ抜かれつ
くやしさで検察庁幹部に怒りの電話
抜かれたら抜き返せ
特捜部からの出頭命令、2日間の取り調べ
「東京新聞は書きすぎた」
内勤部署への異動
整理部が教えてくれたもう一つの新聞
転職に初めて意見を言った父
武器輸出に焦点を定める
相次ぐ門前払いのなかで

第3章  傍観者でいいのか?
編集局長への直訴
菅野完さんが持っていた受領証
母に何かが起きている
「ありがとう、ありがとう」
新聞記者になったのは
朝日新聞「政府のご意向」スクープ
眞子さま報道の裏側で
尊敬している読売新聞が……
「貧困調査」には納得できない
事実と推測を分ける真摯さ
和泉補佐官との浅からぬ縁
教育基本法の改正と安倍晋三記念小学校
自分が出るしかない
「東京新聞、望月です」

第4章  自分にできることはなにか
抑えきれない思い
男性特有の理解?
社内での協力者と共に
見えない権力との対峙
興奮して迎えた会見当日
「質問は手短にお願いします」
  「きちんとした回答をいただけていると思わないので」
記者たちからのクレーム
想像を超えた広がり
声援を受けて募ったやるせなさ

第5章  スクープ主義を超えて
突然の激痛
あの手この手、官邸の対応
記者クラブ制度の限界?
不審な警告と身元照会
産経新聞からの取材
もっとも印象深い事件
冤罪事件に國井検事が登場
日歯連事件からの因縁
隠したいことを暴いたその先で
スクープ主義からの脱却
心強い2人の記者
目を合わせない記者たち
輪を広げるために