書名:八本目の槍
著者:今村 翔吾
発行所:新潮社
発行年月日:2019/7/20
ページ:394頁
定価:1800円+税
秀吉の天下取りの柴田勝家と佐久間盛政らと戦った。賤ヶ岳の戦いで秀吉子飼いの近習で勇名をはせた加藤清正,福島正則,加藤嘉明,平野長泰,脇坂安治,糟屋武則,片桐且元の7人を賤ヶ岳七本槍という。実際は七本槍以外にも石田三成や大谷吉継、一柳直盛も含めた羽柴家所属の14人の若手武将が最前線で武功を挙げたと記録されている。
著者は8本目の槍として石田三成を想定して。この賤ヶ岳七本槍を1人ずつ、若い頃のエピソード、同窓会のような雰囲気、それぞれ個性をもった各位がそれぞれ出世する者、出世できず賤ヶ岳七本槍の手柄で貰った3000石止まりのもの、それぞれをひとりひとり章立てをして「石田三成」の人となり、またこの国をどんな国したかったのか?関ヶ原の戦いをなぜ行ったか?そして豊臣家をどうしたかったのか?米と金の相場を予見して関ヶ原以降の徳川家の米が金に比べて10分の1位の価値を持たせなかった。したがって徳川は直ぐには大阪を攻撃をすることが出来なかった。敗戦をもちゃんと戦略として入れていた石田三成の常人とは全く違った発想が見えてくる。なかなか面白い7人の人物像です。今までとは全く違った見方で、新鮮味を感じる作家です。
ちょっとこれから注目したいと思う。1月に図書館に予約しておいたのですが、貸し出しの通知が来たときにはなぜ頼んだのか?全く失念していたのですが、読んでみてそれが判った。面白い作品です。
【書評】『八本目の槍』今村翔吾著
https://www.sankei.com/life/news/190901/lif1909010025-n1.html