書名:星の王子さま
あなたに大切なことをおしえてくれる 小さな王子さまのお話
著者:サン=テグジュペリ
訳者:浅岡 夢二
絵:葉 祥明
発行所:ゴマブックス(株)
発行年月日:2013年3月5日
Kindle
定価:99円
日本では内藤濯の訳(岩波書店)でこの本を読んでいる人が多いと思う。今回の本は浅岡夢二の訳です。 いままでは作品の冒頭「おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)」とあった。でこの作品は、子供の心を忘れてしまった大人に向けたものであるという認識が広まっていた。現在文明に対する痛烈な皮肉ももあって感ずるところの多い本だった。飛行機で砂漠に墜落した僕と星の王子さまのやり取りで物語が語られるでも聞いても答えてくれないこともある星の王子さまも出てきたりする。
今回の浅岡夢二の訳はどちらかというとこどもに読んで貰いたい本になっている。少し社会風刺は少なくなっているような感じで挿絵も葉祥明に変わっている。昔々読んだ本で今でも持っているが、今回は電子本を手に入れてみた。Kindleで99円。
ちょっと気になる言葉
・「おとなみたいな言い方だ」
飛行機の修理がうまくいかないときに、王子さまの質問に適当に答えた「僕」に王子さまがかけた言葉です。
・「人間たちはもう時間がなくなりすぎて、ほんとうには、なにも知ることができないでいる」
絆について、キツネが王子さまに話しているときのセリフです。日々の中で仕事や暮らしに追われて暮らしている現代人である私たちに、「ほんとう」を知る心の余裕、物理的時間を持つことの大切さを教えてくれているようです。
・「大切なものは目に見えない」
本作といえば、やはりこの言葉でしょう。王子さまが星に帰るときに「僕」に伝えた言葉です。読むときの読者の心境によっても解釈が別れそうですね。
「星の王子さま」の最後のシーンでは、「ぼく」の最期ははっきりとは描かれていない。そして、作者のサン=テグジュペリ自身は、敵軍の偵察に向かうため飛行機で基地を飛び立ったまま消息を絶ち、二度と戻って来なかったのである。星の王子さまは又戻ってきたかどうかは判らない。