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「法令遵守」が日本を滅ぼす

書名:「法令遵守」が日本を滅ぼす
著者:郷原信郎
発行所:新潮社
発行年月日:2009/12/25
ページ:190頁
定価:680 円+税

日本は果たして法治国家でしょうか?確かに日本には憲法もあり、数多くの法律が制定されています。しかし社会の現実を見ると、我が国が実質的な意味で法律によって治められている国かどうか疑問です。「法令遵守」=コンプライアンスといって枝葉のことばかりに目が向いている企業、勿論マスコミ。法令は何のためにあるのか?法令の背後には必ず社会的な要請がありその要請を実現するために法令が定めてあるはず。その背後の社会的な要請を考えずに、法令を守れば良いという安易な方向に走っている現在のコンプライアンス病を著者は日本を滅ぼす、閉塞感、事なかれ主義、蔓延する弊害の数々を例示しながら説明してくれる。コンプライアンス=社会の要請に応えることという新たな視点を加えることで見え方が違ってくる。福知山線の列車事故で病院に担ぎ込まれた病人の家族が病院に問い合わせても個人情報保護法を縦に、なにも答えてくれなかった。信じられない曲解のした法律の解釈、本筋より枝葉を大切に頑なに守ろうとする弊害に社会はつぶれてしまうと訴える。「法令遵守」=コンプライアンスという考え方こそ組織をダメにしていると実感している人は多いのではないかと思います。一読の価値のある本です。マスコミからは絶対に出てこない本かなという気がします。著者は検事出身の大学教授です。