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環境危機をあおってはいけない

書名:環境危機をあおってはいけない
   地球環境のホントの実態
著者:ビョルン・ロンボルグ/著 , 山形浩生/訳
発行所:文藝春秋
発行日:2003/6/30
定価:4,500円+税

ロンボルグはデンマークのアーハウス大学で統計学の准教授という肩書きで、科学者でも環境問題の専門家でもないし、この本を出すまで全く無名の人です。
この本は環境問題を扱っているが、今までの本とちょっと違います。多くの環境本の多くは何か主張したいことがあって書かれている。資源枯渇で明日にでも文明が崩壊する。いますぐ地球温暖化に対処しないと日本は沈没だ。化学物質で人間の身体はぼろぼろだとか。
 この本はそんな誇大妄想的な警告に、もう少し落ち着いてまずデータをきちんとみてみよう。(公表された政府、機関のデータ)勿論問題はあるだろうけれど、全体として環境はいろいろな面で良くなってきている。人はどんどん健康に長生きできるようになっている。人口が増えても食物の増産(農薬、肥料)で充分とは言えないけれど食べることが出来ている。みんな落ち着こうよ。どうでも良い問題に大慌てをして、バカ高い費用を無駄にするような真似は止めよう。環境以外にもお金を使わないと行けないところはあるのだから、落ち着いて優先順位をつけた使い方をしよう。
人類がこれまで多くの問題を解決し、すばらしい進歩をとげてきたことを理解して、自信をもとう。そして未来に希望を持とう。ということを教えてくれる。
1.データの正しい見方を教えてくれていること。
2.多くの環境保護団体のウソを教えていること。
3.あらゆる問題に網羅的な視野が得られること。

環境問題などになればすぐに重箱の隅をつつくようなxxxは発がん性がある。北極の氷が溶けると海面上昇がおこる。等一つのことに注力してそれが全ての本、話題が多いので読んでいる。見ている人は何となくそう感じて自分で思考する事を止めてします。この本は「沈黙の春」「成長の限界」などで示されたデータ、議論などもきっちりとしたデータを提示しながら反論している。最近の地球温暖化についても、農薬、発がん性物質、遺伝子交換植物、種の絶滅等々いま環境問題といわれているものが網羅されている。石器時代は石を沢山つかい。青銅時代は青銅を、鉄器時代は鉄を、薪を使った時代は薪を、石炭時代は石炭を、石油時代は石油を。どの時代でも資源を使い果たして次の資源へ移ったことはない。有限と言われて久しい石油、カーネギー時代残り15年といわれた。ローマクラブの報告は2000年頃に枯渇するといわれた。現在の埋蔵量40年位と言われている。(40年後はどういわれるかな)推定埋蔵量はどんどん長くなっている。次のエネルギーが使われるとき石油は枯渇している??
著者の言いたいことのひとつに環境問題について「何もしなくてもよいのだ」と誤解しないで欲しい。環境問題は改善しているけれど、まだ十分によくはないのだ。しなくてはならないこと、しなくてもいいこと、したほうがいいいこと。これらに優先順位をつけてそれに注力しようということ。
 著者も言っていますがこの中に書かれたことが全て正しいとは言えないし、わからない問題も扱っています。したがってまず自分の目と耳で見て、考えて判断しましょうということ。
ちょっと難しい本ですが、読んで見る価値のある一冊だと思います。


--------------本文より-----------------------
あまりに楽観的だとそれなりの代償がついてくるけれど、あまりに悲観的だってかなり高くつく
僕たちは問題にも取り組むべきだし、理性的に優先順位をつけるべきだけど、無用に心配すべきじゃない。ぼくたちは実は、世界を受け継いだときよりも良い状態にして後世に残している。そして地球の本当の状態については実に素晴らしい点はまさにこれだ。人類はみんああらゆる計測可能な分野で改善を見せていてそして今後も改善は続きそうだということだ。
・・・
今日生まれた子どもたちは---先進国であろうと途上国であろうと---もっと長生きして健康になり、食べ物ももっと食べられ、教育ももっと受けられ、生活水準も上がり、余暇は増え、はるかに多くの可能性が与えられる------地球環境が破壊されることはなしに。実に美しい世界じゃないか。

「食べ物がなければ問題はひとつ。食べ物が足りれば他の問題がたくさん」ぼくたちはいまや、色々な意味であまりに豊かになりすぎたので、その他の山ほどあるつまらない問題について心配するだけの暇ができたってことだ。