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霧の罠

書名:霧の罠
著者:高木彬光
発行所:光文社
発行年月日:2000/8/20
ページ:440頁
定価:648円+ 税

東南アジアのモリネシア領事館に勤務する中国人の通訳が自宅マンションで絞殺された。110番で現場に駆けつけた山口警部の前にはもうひとりの被害者が、30才位でクロロホルムをかがされて眠らされている。果たしてこの男が犯人か?翌朝意識の回復したその男に面接すると、自分も誰かに襲われたのだと証言した。神戸地検の近松検事が探偵役を務める本格推理です。

石橋を叩いても渡らないと言われるほど慎重派の近松検事と山口警部のコンビが面白い。昭和40年代警察の不祥事、えん罪などの事件が世間を騒がせていた世相もあって、この近松検事のスタンスは絶対えん罪は出さない。高木彬光の推理小説はいろいろな会話、箇所に仕掛けがいっぱいあって、物語の最初から埋め込まれている。それが終盤になって光って来ると言う輝き。すかっとするところもある。