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開化怪盗団

書名:開化怪盗団
著者:多岐川恭
発行所:光文社
発行年月日:2001/11/20
ページ:353頁
定価:571円+ 税

熱血漢の書生安岡保が、貿易商の樫村広助の一人娘那美を襲った追いはぎを退治したところから物語は始まる。那美と一緒に馬車に乗っていた気障で柔弱な宝石商・高牟礼三太郎、追いはぎにからきしダメ。明治の始め、まだ維新後のごたごたの時代。この宝石商が実は怪盗団の首領。すり、泥棒などを仲間に悪行を行う。世の中の定まっていない明治を舞台にルパン三世なみの悪人がある志をもって、豪商、貴族夫人などから宝石を盗んで、加工してまた売る。銀行に泥棒にはいる。等々の悪行を行うが、不思議と憎めない明るさがある。九州の五島列島に自分たちだけの国を作るというバカげた夢に奔走する人々を描いている。宝石商・高牟礼三太郎の正体は?最後に明らかにされるが、それが判るとそれまでの出来事がぱっと判ってくる感じがする。なかなか面白いストリーです。