書名:逃げ水(1)
著者:子母澤寛
発行所:嶋中書店
発行年月日:2005/7/20
ページ:490頁
定価:800 円+ 税
書名:逃げ水(2)
著者:子母澤寛
発行所:嶋中書店
発行年月日:2005/7/20
ページ:498頁
定価:800 円+ 税
幕末三舟と言われた「勝海舟」「山岡鉄舟」「高橋泥舟」。激動の時代に将軍家へ忠誠を貫く男旗本高橋家の養子謙三郎後の「泥舟」の生涯を描いている。実兄山岡紀一郎、養家の隠居高橋左衛門のもと修行に励み、槍一筋で破格の出世を遂げる。桜田門外の変、策士清河八郎の策謀による浪士隊の上京、新撰組の結成。京都で新撰組が、江戸で新徴組が奔走する中、大政奉還、鳥羽伏見の戦いを経て、江戸開城が行われる。
勝海舟、高橋泥舟は江戸の守りと将軍家の護衛のため、西郷との事前の打ち合わせにいけないということで義理の弟「山岡鉄舟」が代理で西郷と会見。この会見で江戸無血開城は決まる。その後有名な勝海舟と西郷の会談、三田の薩摩上屋敷、一説には池上本門寺もあり。鉄舟と勝はこのとき初めて会うことに。
この間にも江戸開城を不服とする彰義隊が上野に立て籠もり、徳川慶喜を擁立するとの噂が飛び交う、将軍家の安全こそを至上とする泥舟は徳川慶喜を守り続ける。勝海舟、山岡鉄舟とは違って明治政府への仕官をかたくなに拒み、市井に埋もれた忠のひと高橋泥舟の壮絶な生き様。時代が人を輩出させるのか、人が時代をつくるのか。
薩長土肥ばかりの活躍が目立つ幕末から維新にかけての時代こんな男がいた。存在感のある大きな男。いまの時代にはもうあらわれない種類の人間では。でも時代がそんな人をつくるかもこれに期待するしかない現状のような気もするが。