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能登の密室

書名:能登の密室
著者:津村秀介
発行所:講談社
発行年月日:1995/5/15
ページ:316頁
定価:1400 円+ 税

晩秋の能登のホテルで、人妻が服毒死した。室内には青酸ソーダ入りの缶ジュースとルームキーが転がっていた。第三者の出入りが不可能な状態。状況証拠は自殺。でも室内に三本の毛髪が。人妻の周辺には自殺とは思えない状況がいろいろ出て来る。良人とは離婚寸伝。弟(母親の違う)とは険悪な関係。ルポライターの浦上伸介は自殺に見せかけた他殺だと確信する。しかし容疑者と目される良人、弟には鉄壁のアリバイが、大きな壁がいくつも立ちはだかる。密室の謎解き、列車と飛行機の時刻トリック、アリバイトリックを次々壊していく。小気味の良い作品です。目撃者の錯覚を利用したトリックなどなかなか面白い。