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本に出会う

真田幸村

書名:真田幸村(上)
著者:海音寺潮五郎
発行所:学陽書房
発行年月日:2005/11/21
ページ:390頁
定価:840 円+ 税

書名:真田幸村(下)
著者:海音寺潮五郎
発行所:学陽書房
発行年月日:2005/11/21
ページ:390頁
定価:840 円+ 税

真田幸村、真田一族、真田十勇士など、いろいろな人に寄って書かれている人物、一族。海音寺潮五郎の真田幸村です。残念ながら未完。大構成の片鱗はあるけれど途中の感もやむ得ない。武田が滅びるところからこの物語は始まる。勝頼が真田昌幸の言に従って真田の元に逃げていれば、武田は滅びなかったかも。小山田を信用したばかりに悲劇になる。これも運命、歴史。武田が滅んだあと、真田一族の存続をかけて昌幸、幸村の策謀が始まる。史実にそったところは徳川の傘下に入るまでの短い間。主人公幸村とは別に副主人公の忍び「子供の赤石」猿飛佐助を思い起こさせる。この赤石が物語の展開を支えている。史実を元にしながら海音寺のフィクションの世界に誘ってくれる。未完ではあるけれど、その後を想像するのも楽しい。
海音寺潮五郎は当時当然売れっ子作家なので、いっぱい仕事を持ちすぎて、未完の作品が多い。でもその中途半端も又良いのかも。最後まで書かない、判らないところを読者の想像でということかもしれない。