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江戸人遣い達人伝

書名:江戸人遣い達人伝
著者:童門冬二
発行所:講談社
発行年月日:1994/6/10
ページ:341頁
定価:1650 円+ 税

日本的経営というと、近頃では「古い」とか「現代に適合しない」とかいわれるが、CS(顧客満足)などは日本の江戸時代にそのものずばりが実行されており、学ぶべき例がたくさんある。江戸時代の大名、商人、学者の例を現代に通じるエッセンスを描いている。田沼意次は人気のない政治家、松平定信は清く正しく美しい。血統も良い人気もある。コンプライアンス、コンプライアンス、政治と金と厳しくしていくと景気は悪くなる。清いことと経済は比例しない。反比例する。清濁を飲み込んだところに政治があるのでは?

 血統の良い政治家の行った改革は失敗している。身分も低い田沼、柳沢吉保の行った改革は成功している。でも賄賂はいっぱい。ところが賄賂はどんどん貰うでも、将軍より良い物は持ってくるなと。この賄賂も実は商品の付加価値、品質を良くしてきた側面もわすれてはいけない。江戸時代は同じ役職を2,3人でかねる(北町奉行、南町奉行の交代制)、権力のある人にはお金はない。権力のない人はお金がある。お金がなくて権力の座について改革をやろうとしたとき、やっぱりお金がいった。それを冥加金、運上金、賄賂で賄ったのでは?江戸時代を知れば知るほど知恵と行動力のある人が次々と輩出していたことを改めて感じる。下記のうたは非常に難しい。でも世の中の本当のところを著しているのでは?

田や沼や 汚れた御代を改めて
清く澄ませ白河の水

白河の あまり清きに耐えかねて
濁れるもとの田沼恋しき