書名:地球温暖化スキャンダル
2009年秋クライメートゲート事件の激震
著者:スティーブン・モシャー、トマス・フラー
訳者:渡辺正
発行所:日本評論社
発行年月日:2010/06/15
ページ:304頁
定価:2200 円+ 税
地球温暖化を裏付けるデータの捏造はあったのか? 2009年末に流出したメールによって明らかとなった事件の全貌を、余すところなく描く。昨年11月に流出したメール・データを分析した事件の真相を2ヶ月で書き上げた本です。その後調査は継続されているので、違った見方も出て来るかもしれない。
クライメートゲート事件は、温暖化調査の中心的な機関(地球温暖化が深刻であり早急に対策を取らないと行けない立場)からメール・データがネットに大量に流出した、その中にデータ隠蔽工作(気温の変化の推移の捏造・都合の良いデータばかりを集めた。元データの開示をしないこと)や自分たちに少しでも異論を唱える論文やその掲載誌に対する組織的な圧力工作を行った事を示すメールが大量に含まれていたことから、温暖化の科学的な議論の信憑性にまで疑問が投げかけられたもの。
またCOP15の直前だったため、懐疑派の陰謀とも言われている。(日本では殆どのマスコミは報道していない。一部かなり遅れて報道したが、その後のフォローはなし)このメールのやり取りを時間軸を追いながら詳細に解説している。
地球温暖化問題とは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「教義」だった次の3つの科学知見をどれも事実と見て、「だから対策を!」という話でした。
1.地球の気温はかつてない勢いで上昇中
2.温暖化の主因は、人間活動が出すCO2
3.温暖化は人類や生態系にとっての脅威をもたらす
この教義がぐらついてきたということ。
「だから対策を!」というところから政治の問題になって、壮大な浪費をさせていること。日本政府は2006年度から毎年1兆円以上、計5~6兆円を投じた温暖化対策に見るべき成果はありません。また不誠実な人や集団を増やしました。「CO2排出の少ないエコ製品」を宣伝しまくる企業。ここぞとばかりに儲けに走る。巨額な温暖化関連研究費に群がる人々は涼しい顔でホンネとタテマエを使い分ける。本当にCO2を減らそうと自転車や徒歩で通勤する識者、環境大臣はいないし、放送時間や印刷部数を削減するメディアもいない。「俺たちの言うことを聞け、俺たちのすることはみるな」の環境版です
科学には500年の歴史があるが、気候の科学というのは1941年「物理気候学」ランズバーグが出したが初めて、非常に若い科学。したがってまだ始まったばかりの科学、ミスもあれば誤解もある。まして100年後予測なんてまだまだ早すぎる。まだまだ発展途上の学問だから、今回のような事件はあってはならないこと。気候科学の信頼性、信憑性を一気に落とした事件だといえる。地球は温暖化しているのかしていないのか?また地球温暖化という全部が温暖化するわけではなく部分温暖化、あるところでは寒冷化もする。
したがって全地球的に考えるより地域の温暖化した場合の対策をどうするか?を考えるのが政治の問題。そして科学者は事実を真摯に見つめる。研究することが大切で、IPCC報告書のデータの根拠となる生データ(観測点のリスト、補正したアルゴリズム等)を公開して誰でも追試が出来る状態に置くことから始めないといけない。と言っている。異論もあって当然、謙虚に学問する人には研究費も行き渡るようにしないといけない。ところがこの温暖化問題は出発点から上記の3つの教義から始まっているので、それにあった研究テーマ、研究成果を出せるプランを出した科学者、学者に研究費が流れるような仕組みだった。当然研究成果はこの3つ教義に反するものは受け入れられない。
したがって元東京大学学長小宮山教授など懐疑派と呼ばれる手強い相手が出て来ると糞味噌に人格まで否定する。下品な振る舞いをするしかなかった。自分の説は絶対で、それ以外は認められないといった論争がこの温暖化論議には多い。ゆゆしき事態です。まだまだ幼稚園の学問だからもう少し緩やかに待つ余裕を持ちたいものですね。
IPCC報告をじっくり読んでみましょう。見えてくるものがありますよ。また気象庁の日本の気温の推移、これも元データはどこを探しても出てこない。なぜかな?
この本以降の調査状況などをまとめたものが下記でダウンロード出来る。
クライメートゲート事件をまとめた渡辺正教授の論文のダウンロード先
http://www.nippyo.co.jp/download/climategate/index.php
科学史上最悪のスキャンダル
http://env01.cool.ne.jp/global_warming/climategate.pdf