書名:食糧がなくなる!本当に危ない環境問題
地球温暖化よりもっと深刻な現実
著者:武田邦彦
出版社:朝日新聞出版
発行年月日:2008/8/30
価格:1200円+税
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今、密かに進んでいる「食」の危機は「油」から起こっている
飲み水の三倍の石油を使っていて、なくならないはずがない
お金がなければ自国に食糧があっても餓死する時代になった
アメリカは自国の石油は使わず、新たなターゲットを「食糧」にみつけた
日本は、人間が生きるのに最も大切な「穀類の自給率」が極端に低い
「食糧を燃料にする」というが「食糧は石油で作られている」
「温暖化」が食糧危機を解決する唯一の解決策になる
中国製ギョーザ事件の犯人だけではなく本質を理解すること
「自然のものは安全、人工的なものは危険」は間違いだ
日本の近い将来の最大の危機は、温暖化ではなく紛れもなく食糧問題だ。
(本書本文より)
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2007年3月、アメリカのブッシュ大統領が「トウモロコシからバイオエタノールをつくる」という計画を発表した。この問題を環境問題として取り扱われた(理解した)問題こそ、今後数十年にわたって続く「食糧崩壊」の始まりだった。
年間1500万人が餓死している、8億人の人が飢えている。そんな状態でトウモロコシからバイオエタノールにして自動車燃料にすれば食糧がそれだけ少なくなるから飢える人、餓死する人が激増する。石油価格が上がると食糧を燃料に、豊作でトウモロコシを廃棄処分するのではなく燃料にするのであればそれなりに説得力もあるが、石油戦略が裏にある怖い怖い話です。最近本屋に山積みにされている「環境問題のウソがなぜまかり通るのか」「偽善エコロジー」「間違えだらけのエコ生活」の武田邦彦氏の近著です。
石油も動植物の死骸から出来ているので本来ならバイオ、でも生きた植物を使うことがバイオというらしい。バイオは環境に良いものとすり込まれている人達にとってはびっくりする大国アメリカの壮大なエネルギー戦略の一端を分かりやすく紹介してくれる。目の前で騒がれていることに目を塞がれて密かに進行している本質を教えてくれる。アメリカべったりのマスコミ、学者などからは知らされない事実を知ることが出来る本です。少子高齢化と騒ぐよりも人口問題とからめて、食糧問題を考える上で参考になる本だと思います。