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後北條龍虎伝

書名:後北條龍虎伝
著者:海道龍一朗
発行所:新潮社
発行日:2006/7/30
定価:1,800円+税

歴史の中で北條氏というのは2度登場している。ひとつは鎌倉時代、源三代の後の北条氏。次に現れたのが室町時代の終末、北條早雲(伊勢氏)、この物語は後北條、北条早雲から三代目、北條家の惣領「氷龍」北條氏康。家中随一の猛将「焔虎」義弟北條綱成(福島)。兄弟のように育ち、深く結びあった二人の男が試練に立ち向かう。父北條氏綱が辛苦の末に得た河越城江戸城を守るべきか、それとも僅か3千の兵で8万の大軍(山内・扇谷の両上杉氏と足利晴氏の連合軍)に包囲されている綱成を救うべきか?
 で始まるこの物語。
子供時代からの回想が始まっていく、北條家の歴史、関東における上杉氏、今川、武田、里見氏などとの関わり等を順を追って物語が進む。そして父氏綱がなくなって名実共に北條家をしょっていかないといけなくなった氏康に降りかかってきた試練。さてどう立ち向かっていくか?この物語のクライマックス。
北條氏康が今川義元と激しく戦闘を繰り広げているところに、甲斐の武田晴信が今川の援軍に加わって戦況が激変する。その時、河越城を城主北條綱成。綱成の性格からも氏康の心を十分理解していて、山内・扇谷の両上杉氏と足利晴氏の連合軍に全面的な降伏をして綱成を助けることは河越城ばかりではなく江戸城、鎌倉の放棄になってしまう。三代にして関東に覇権をなすという北條家の悲願が一瞬にして水泡に帰す。綱成はすでに死ぬことを覚悟していた。
 しかし、氏康は「人こそ、財」とは北條家の家是を守って河越城を救うことを決意。しかし派兵できる軍は8千。上杉氏に降伏を申し出る。河越城の放棄、江戸城の放棄を申し出る。それで上杉の兵達は勝ったと安心していた。氏康は8千の兵を3つに分け、上杉氏を攻める、その隙に河越城の味方を逃がすのが目的だった。ところが河越城の綱成は上杉本体に攻めていく。後は読んでのお楽しみ。
後に北条氏康の河越夜戦とよばれ10分の1の兵で上杉氏を破った有名な戦いです。小田原の北條氏にも人は居たのですね。豊臣秀吉の頃とはえらい違いですね。
海道龍一朗の本は初めてですが、なかなか面白いちょっと注目すべき作家かなと思います。別の作品も読んでみたい気がしました。