書名:デジタル教育は日本を滅ぼす
便利なことが人間を豊かにすることではない!
著者:田原総一朗
発行所:ポプラ社
発行年月日:2010/8/26
ページ:203頁
定価:1400 円+ 税
島秀雄という国鉄の技師長で新幹線の開発に取りかかるとき「新幹線は実証されている技術だけで作る。新しい技術には一妻挑戦しない」そんな話をしった荒瀬克己、京都市立堀川高校の校長。2005年国公立大に180人もの合格者をだした。いまこの高校に全国から熱い注目を浴びている。
新幹線が実証されている技術と安全性で作られ大事故はまったくない。教育も同じで、人は何千年も教育を続けてきました。世界の歴史の中であまたの教育方法が実証されていて、その中に全ての問題、全ての失敗、逆に全ての方向性、全ての答えが示されている。お手本は一杯ある。改革といって今までを全て否定しないで、日々の取り組み、現状の延長線上でおこなう。教育とはいいところを重ねることだから、現状の良さも見ながら手直しを加えていくべきと言っている。
デジタル教科書は正解のある課題に対しては、自己完結の形で答えを出すことが出来る。学校も教師も必要ない。極めて利便性があり、効率的である。しかしだからこそ大問題なのである。
今までの日本の学校教育の重大な欠陥が、正解のある問題の解き方ばかりを教え、正解以外の答えに対して全く価値を認めないために、コミュニケーション能力が育まれず、想像力や創造力が封じ込められている。デジタル教科書はこの欠陥を増大させてします。ということで緊急提言としてこの本を出版したと言っている。
戦後の教育の方針、教育基本法のエッセンス、歴代の政府の施策などを紹介しながら日本の教育の実情を述べている。知らなかったことも多いし、教育現場を全く理解していない。役人、政府が机上で決めた法律でとんちんかんな教育(ゆとり教育、最近ではゆとり教育は失敗だったなど)を行ってきた。デジタル化の波が押し寄せてきている今、しっかりと教育の本質について議論をしないといけないと田原氏は言う。
教育とは???「コンプライアンス」とは「法令遵守」「遵法精神」のことですが、この言葉だけで実は危険なことはしない。余計な波風を立てずに無難にいこう、チャレンジせずに、やっかいごとは避けようとうことになっている。上から押しつけられたら何も考えずに、デジタル教科書もそのまま導入してしまうのではと危惧している。
教育は効率、コストではない。時間を掛かるもの、貧乏な時代の教育についてはそれなりに成功してきた日本の教育。豊かな少子化時代の教育について十分に議論する必要があると言っている。