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逆説の日本史 近世爛熟編14

書名:逆説の日本史 近世爛熟編14
   文治政治と忠臣蔵の謎
著者:井沢元彦
発行所:小学館
発行年月日:2007/8/26
ページ:443頁
定価:1600 円+ 税

井沢元彦の逆説の日本史14冊目です。日本の歴史学会とは全く違った視点で異端論を書いているので、興味をもって面白く読んでいます。今回は江戸元禄時代。有名な忠臣蔵の謎を解いています。普通に考えると吉良は被害者、浅野は加害者どう考えても仇討ちという位置づけに置かれる筈のない。バカ殿浅野、大石内蔵助もバカ殿のことを十分知っていたはず。

でも浅野が恨みを持って死んだ(本当は吉良を討ち果たしおくことができなかった)のであるから、主君の思いを遂げることが部下の忠義というロジックで、仇討ちということにして、集団暴行を企てた。それに乗った人々がいた。実態はそっちのけで忠義の物語になってしまった。こんなつまらない話でもこうなってしまうという例です。現代でもマスゴミに作られて勘違いで真実と思われていることはいっぱいありますね。フィクションが事実と間違えられた忠臣蔵(ばか殿物語)ですね。

またこの本の中で生類憐れみの令を行った綱吉は暗君の呼び名が高いが、どうしてどうして、綱吉は名君。江戸時代を通じて一番の名君だと言っている。それはなぜ?綱吉は戦国時代から武士は人を殺して当たり前という世の中を、人の命は簡単に殺してはいけない。という大きな方針転換をおこなった将軍。また側用人(柳沢、間部、田沼)という将軍と老中の間に置いたこと。自分のやりたいことを命令するときに直接行うと、束で反対されたら負けてしまう。側用人に、将軍はこう考えているから、そんな意見は通りませんよと、道筋を将軍の思い通りに出来るということを考えた(いや発見)ということでも名君だと言っている。その側用人は実力主義で選んでいる。いつも新しい発見のある逆説の日本史です。