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「狂い」のすすめ

書名:「狂い」のすすめ
著者:ひろ さちや
発行所:集英社
発行年月日:2007/6/27
ページ:198頁
定価:680 円+ 税

 今の世の中、狂っていると思いませんか?世間の常識といわれているものにおかしいことばかり、今は社会の方がおかしいことばかり。狂っている世の中を生きるために「狂い」をすすめています。狂った世の中で自分の方を狂わせることで正常になる。凄く逆説的なすすめです。でもかなり本質をついていると思います。

 ゴム紐で作った物差しで物事を測った価値観に振り回されることなく、ホトケの物差しで生きていきましょうというすすめの本。ゴム紐で作った物差しとは浅はかな人間の価値観、世間、みんな(多数決)の価値観によって伸び縮みする物差し。
著者が一番言いたいこと。
・私たちはたまたま生まれてきて、生まれてきたついでに生きているだけで、別段それ以上の意味なんかない。
こう考えると肩の力がすっと抜ける。他力のすすめですね。

 ひろさちやの本はどの本を読んでも同じようなことが書いてあるが、この本はかなり強烈に自分の考えを述べている。70才を過ぎて、はっきりきっちり主張しだした感じもします。

本書より
・今日できる仕事は明日に延ばすなに対して
 明日出来る仕事は今日するな、他人が出来る仕事を自分でするな
・人生に意味なんてありません。「生き甲斐」なんてペテンです。
・「人生は無意味なんだ」

・「人生に意味があると持っているから、その意味に絶望して自殺するのではないか。人生に意味がないとわかっていれば自殺する必要もない。」
・われわれには「自分が自分であって良い」という権利があるのだ。これが基本的人権だ
・天皇陛下のために死ぬのがお前たちの「生き甲斐」だ。でもそんな生き甲斐は敗戦とともにスクラップになってしまいましたが、「やれ仕事が生き甲斐だ」「元気に働くことが生き甲斐だ」「世の中に役に立つ人間になることが生き甲斐だ」こんな世間の常識は実は奴隷になっていることなんです。