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信長の棺

書名:信長の棺
著者:加藤 廣
発行所:日本経済新聞社
発行年月日:2005/10/21
ページ:423頁
定価:1900 円+ 税

「信長公記」の作者太田牛一が主人公の作品。「信長公記」というのは信長の家来であった太田牛一の日記を元に書かれていて資料的には正確な記述が多いので一番信用されている。小瀬甫庵の「信長記」の方が一般には良く知れ渡っていて広く読まれている。面白く読ませるための物語となっている。

太田牛一は尾張国に生まれ、柴田勝家の下に仕えるが、弓の腕を認められ、織田信長の直臣となる。文才に優れ、信長・秀吉・秀次・秀頼・家康の軍記などを著述したが、信長の一代記である『信長公記』が特に有名。晩年は、大阪天満にて隠居生活を送る。

この太田牛一の視点から信長の半生を辿っていく過程を物語にしている。うつけと呼ばれた信長の真相、桶狭間での今川義元に奇跡的に勝つ。その本当の事実は。本能寺の変の事は事前に知っていた「豊臣秀吉」本能寺は地下通路で阿弥陀寺と繋がっていた。明智光秀に攻め込まれたとき、信長がはその通路を通って本来は逃げられるはず、でもそこには土壁がふさがっていた。

などなど新説がいろいろとでてくる。明智光秀は近衛前久に騙されて天皇家を守るために、信長を討った。豊臣秀吉、蜂須賀小六は丹波の山の民の出身で、毛利方とも中国戦線でいろいろ裏取引をやっていた。など。

この作者の初めての作品にしては良く資料を調べて良く書けていると思う。すこしこの加藤廣の作品を読んでみたい気がした。