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銀しゃり

書名:銀しゃり
著者:山本 一力
発行所:小学館
発行年月日:2007/6/4
ページ:446頁
定価:1600 円+ 税

寛政の頃、亀久橋たもとで寿司屋を営む27才の若者「新吉」が主役。「三ツ木鮨」という寿司屋。江戸の町人と旗本、職人たちの生き様を描いた作品。山本一力の作品は商売の基本、また商売のアイデア、経済の仕組みなどを隠し味として当時の物価、金利、政府の政策、旗本の借金漬けの生活感などを何気なく潜ませている。知らず知らずのうちにビジネスモデルを見せられている。職人「新吉」が新しい工夫で寿司の味を旨くする。砂糖の代わりに柿の甘さをつかったり、酢の工夫。寿司を包丁で切らないで、竹のナイフをつかう。それを竹職人に制作させる。羊羹の虎屋にもその竹のナイフを売ることで、竹職人は「新吉」に考案料を支払う。町人、職人、商人、武士の暮らしの経済を石高をベースにお金の換算などを教えてくれる。またビジネスに向かう意気込み、挫折、発展となかなか読み応えのある内容の作品です。面白かったので一気に読んでしまった。読んだ後の余韻が暖かい作品です。