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21世紀日本の情報戦略

書名:21世紀日本の情報戦略
著者:坂村 健
発行所:岩波書店
発行年月日:2002/3/25
ページ:247頁
定価:1600 円+ 税

「超漢字」「TRON」などで有名な坂村健教授の本です。日本人は米国人になれない。グローバルスタンダードはアメリカスタンダードで特殊なもの。IT技術の過度のアメリカ依存に潜む問題点を提示しながら、日本は日本独自の道を歩まないといけないと警告する。

「コンピューターは巨大なコピーマシン」この認識を誤ると大変なことになる。いま読み書き算盤のと同じように「情報の権利」という教養が無いと生きづらくなってきている。学校教育でも、生涯学習でも全くやろうともしていない。著作権法などはソフトウェアと物と同じように規定して、権利を整理しようとしているが、物とは全く違うもの。所有と利用の権利は別に考えないといけない。

 ニュートン力学は比較的理解しやすいが、量子力学は良くわからない。インターネットの世界はそのよく分からない世界、したがって不安を持つ人も多い。教育の優先順位として情報技術は最優先で各世代におこなって教養として身に付けないといけない。国家という究極の非営利組織、このとるべき戦略、方針はこの教養がなくては出来ない。

TCP/IPというプロトコルがあるが、これからの時代規格として決めるべきもの、決めない方が良いもの2つを旨く組み合わせることが必要で、HTML言語なんかもきっちり決められていないことである程度いい加減でも見ることができる。決めるとこの大切さとともに決めないことの大切さを強調している。

江戸時代、馬車の存在は知っていたが、幕府は採用しなかった。川に橋を架けることを知っていたが、橋は架けなかった。いま手に入る技術、科学を何でも使うことが正しいことか?長い長い目で見たときにはどうなのか?日本人が一番に苦手なグランドデザインをどう描いていけるか。いろいろ考えさせる本です。坂村健教授は前々から注目(勝手に)している人です。