書名:悪霊 松永弾正久秀
著者:早乙女 貢
発行所:新潮社
発行年月日:1982/12/15
ページ:665頁
定価:720 円+ 税
松永弾正久秀は前半生がよく分からない人で、気がついていたら三好家の長慶(ながよし)についていた。室町末期の戦国時代の武将で足利将軍義輝を殺した。東大寺大仏殿を焼き払った。三好家を乗っ取ったと悪名高い人。また信長に破れたとき「平蜘蛛の釜」(信長が非常に欲しがっていた茶道の釜)をたたき割ったとも、釜と共に爆死してしまったとも言われている。ただ、何故か「平蜘蛛の釜」なるものは現存しているとか?波乱に富んだ一生を面白く描いている。悪もここまで来ると何でもありで、悪こそ強いということも言えるかも知れない。時代が少し違っていたら、天下を取っていたかもしれない。興味ある人物だと思う。豊臣秀吉よりは面白い感じがした。氏素性がはっきりしていない、どこの馬の骨とも知らないものが、三好家という名門の長慶を裏で操りながら長年我慢に我慢の末に三好家に取って代わる。そこには信長、謙信、信玄が。近畿一円を押さえていた松永弾正久秀にもう少し運があったら、歴史は変わっていたかも。信長の叡山延暦寺の焼き討ちが有名ですが、東大寺大仏殿を焼いたのは松永弾正が先。信長もこれにならったのか?当時の宗教は軍隊と同じでどの武将も手を焼いていた。ところで侍は「ちょんまげ」を何故していたか?「月代」を大きく剃っていたか?実は兜をかぶるときに前髪が邪魔になったからだっとか。戦国時代の前期の頃守護(細川、名和、畠山)が別れて争っていた時代も人間味があって面白い。