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地球環境 46億年の大変動史

書名:地球環境 46億年の大変動史
著者:田近 英一
発行所:化学同人
発行年月日:2009/5/30
ページ:226頁
定価:1600 円+ 税

 この地球の46臆年の歴史、いつ「生命」がうまれたのか、恐竜はいつなぜ絶滅したのかなど、地球史に関する興味は尽きない。本書はこの地球史学の発展の結果、地球環境がどのようなメカニズムで変化するのかを明らかにし、われわれが今日、地球環境を考える際の時間の尺度を一挙に長くして、大きな視野からそれを考えるよう勧めている。地球温暖化については早急に研究を進める必要性を指摘しつつも、結論については慎重な姿勢を貫いているように思う。人間の物差しに対して余りにも大きい地球の物差しで研究している著者の目からは政治化してしまった地球温暖化議論に対して冷却剤を与えてくれるような本です。簡単にいうと判っていないことが一杯ある地球の気候について簡単に結論を求めるな?もっと自由な研究をさせてくれと言っているようにも思える。(たとえ政治の意図していない結論が出るとしても)

本書より
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■二酸化炭素は超微量成分である 
・昨今は地球温暖化とやらで二酸化炭素ばかりが注目されているが、良く知られている通り地球の大気は、窒素78%、酸素21%、アルゴン(不活性化ガス)1%、二酸化炭素0.038%という組成だ。悪者扱いされている二酸化炭素は実はたったの0.38%しかない「超微量成分」である。

・地球型惑星のお隣さんである金星の大気組成は、大気の95%以上が二酸化炭素である。二酸化炭素濃度という点では、金星こそ「温暖化ガス惑星の本家本元」であり、相対的に言えば「地球は二酸化炭素欠乏惑星」であることをまず確認しておきたい。

■現在は氷河期の真っ直中に居る
・現在の地球はとても暑いと思って居る人が多いが、現在の地球はつい3400万年前に始まった氷河期の真っ直中に居る。ほんの1万年前に氷河期が終わり、間氷期に入っている所なのだ。この1万年間の間氷期の間隙を縫って人類が驚異的に勢力を拡大したことは言うまでもない。

■地球温暖化については慎重な姿勢が必要である
地球が暑くなるか寒くなるかは僅か数十年間の統計的データでは結論は出ないと思う。1970年代までは世界中の研究者が氷河期に逆戻りすることを真剣に心配していたのに、1990年頃から突如として氷河期に逆戻りする心配をしなくなり、暑くなる心配ばかりするようになった。少なくとも数億年単位で考えないと、地球温暖化については何の科学的な結論も得られないと思う。