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本に出会う

山本七平の日本の歴史

書名:山本七平の日本の歴史(上)
著者:山本 七平
発行所:ビジネス社
発行年月日:2005/4/1
ページ:266頁
定価:952 円+ 税

書名:山本七平の日本の歴史(下)
著者:山本 七平
発行所:ビジネス社
発行年月日:2005/4/1
ページ:283頁
定価:952 円+ 税

「日本人とユダヤ人」昭和45年「日本教」昭和51年「日本の商人」昭和50年で独特の日本人論をイザヤ・ペンダサンとして書き上げた山本七平の残された遺稿「諸君!」に発表されたものを刊行した本です。日本の歴史それも日本人としての精神、思想の原点を求めた作品。その原点を南北朝の時代に求めている。北畠親房の「神皇正統記」「太平記」、後醍醐天皇、足利尊氏の時代。

後醍醐天皇というのは教養もあり頭も良かったけれど、政治に関しては全く無能な人。朝令暮改は日常茶飯事。それでも尊氏は付き合っていた。北畠親房すらあきれかえっている。本来ならばこの「建武の中興」で天皇制は消滅していたかもしれない。ところが当時の幕府、武士には天皇に成り代わって天下をとるという発想すらなかった。統一した思想というものがなかった。無能な後醍醐天皇のお陰でこれからの日本の未来を考えることをしないと末世の世を過ごすことが出来なくなってしまった。(逆説的ですが)

前期天皇制と後期天皇制の転換期が建武の中興、その転換点に後醍醐天皇、足利尊氏がいる。そして名としての天皇(これは犯すべからず、天皇製造人(武士))と実の政治を行う幕府体制という役割分担が決まった。それ以後現在に至るまで、明治維新の動乱期、第二次世界大戦の混乱期を経てもそのままの体制が残っている。これが日本の思想の根底にある。世界的に非常に珍しい特異現象だと言う。本来ならば前政権は一族は虐殺されているのが常識。どうしてこの体制が出来てきたのかを「神皇正統記」「太平記」を読み解きながら懇切丁寧に説明している。本当に久しぶり何十年か振りに山本七平に会った。懐かしい思いで読んだ。

本書より
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「歴史とはそれが書かれた時代のものであっても、それに書かれた時代のものではない」