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電子書籍の時代は本当に来るのか

書名:電子書籍の時代は本当に来るのか
著者:歌田 明弘
発行所:筑摩書房
発行年月日:2010/10/10
ページ:269頁
定価:820 円+ 税

ソニーのリーダー、キンドル、ヌーク、ipadと次々電子書籍端末が発売され、これからも次々発売、開発されている。十数年前から何度も、電子書籍の時代が来ると言われてきたが、本当に来るだろうか?という問いかけにある答えを考えるヒントを与えてくれる本です。

アメリカでは言葉も単純なこともあって、どんどん電子化されている。コンテンツも充実してきている。国会図書館、大学図書館の本をGoogleが電子化を推進している。また紙の本に比べて安いデジタル本が売られている。端末とコンテンツの普及である程度は進であろう。ちなみに日本ではというと、本の関連産業の市場規模は2兆円(書籍8000億円、月刊誌8000億円、週刊誌その他4000億円)。ちなみに音楽産業の市場規模1.7兆円、どちらにしてもハードメーカー1社の売上と変わらない小さな市場。そこに怒濤の如くいろいろなメーカーが端末を投入、出版社によっては積極的なところと二の足を踏むところも。また本の著作権処理の問題、再販制度の問題。価格決定権はどこにあるのか?

新版の本は電子化も簡単とはいえ。紙の本、デジタル本の2種類を作らないといけない。また値段も一物一価が大原則の経済。の中に一物二価をどう導入するか?毎年100冊紙の本を読んでいる人が端末を買うことで、半額の電子本が手に入る位であれば投資をしてもペイするが、紙の本と同じであればあまりメリットはない。電子書籍化したことによって本を読む人が増えて全体のパイが増えるとは思えないので、電子本増えた分だけ、紙の本の売上は減る。既存の本屋さんは廃業するしかない。

英語の本はGoogleによって絶版本などを中心にどんどん電子化されている。日本語の本についてはまだまだ、そうするとますます英語の氾濫。日本語文化の凋落になってしまう。国策、民族として今まで刊行している本は早急に電子化しておかないと益々取り残されてしまう恐れがある。(これは商売、損得を抜きにした話として)

などなど興味ある話題が紹介されている。電子書籍元年と言われているが本当なのか?ちょっと考えるには良いヒントが散りばめられた本です。結論はさてどうなるのか?