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箱根の坂

書名:司馬遼太郎全集51
  箱根の坂
著者:司馬遼太郎
発行所:文藝春秋
発行日:1998/10/10
定価:3.429円+税

久々に司馬遼太郎を読みました。この物語は司馬遼太郎が小説を書かなくなるようになった少し前の作品(昭和の終わり頃)です。伊勢新太郎(早雲庵宗瑞)のちに北条早雲と呼ばれている。後北条氏の初代の物語です。前半生のことは殆ど判っていないのですが、司馬遼太郎流の推測で物語が作られている。足利義政の弟、足利義視の申つぎ衆として使えた伊勢新太郎の時代から始まっている。伊勢氏は将軍家の礼儀、祭式一般を指南する家柄、その次男坊として新太郎を位置づけている。45歳の晩年に駿河今川氏の後継者問題で駿河に下る。10年待って世継ぎに今川家を相続させて、伊豆を納め、80歳を過ぎてから小田原を乗っ取る。また三浦道寸を滅ぼす(ここで名門三浦氏が滅亡する)大器晩成型の武将?北条早雲の物語。この人が戦国時代の終わりのころ、信長、秀吉、信玄、謙信、家康の時代にいると日本の歴史はかなり変わったのでは。税を4公6民に、検知を実施、戦闘員として足軽を組織化(専用に)したのも早雲が最初とか?

 太田道灌なども登場してなかなか興味ある。今の日本人のルーツは室町時代以降からとか?室町時代はあまり歴史に出てこないが、今の生活様式等の原形があるようだ。室町時代を開いた足利尊氏は気前のいい人で幕府の領地は殆ど持たずに、配下の武将に分けてしまったから、室町幕府の将軍はいつも貧乏所帯、各地の守護、地頭の動向であっちいったり、こっちにいったり。応仁の乱なども起こるべくして起こったのでは。それも相続権争いが一番の原因だっととか?