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移り気な太陽

書名:移り気な太陽
   太陽活動と地球環境との関わり
著者:桜井 邦朋
発行所:恒星社厚生閣
発行年月日:2010/11/15
ページ:162頁
定価:2100円+ 税

CP15でも地球温暖化について混乱している。CO2犯人説にも暗雲が、国際政治問題となっている地球温暖化、少し頭を冷やして考えてみよう。たった162ページの本ですが、本質的なことが書いてある。なかなか難しい本です。銀河系における太陽活動、そのコントロールを受けている地球、良く比較として金星が揚げられるが、地球と金星の違いの大きなところは磁界強度が全く違う。地球に比べて金星は1/2000位の磁界強度、それは何故か?自転の速度が全然違う。

それは地球、金星の生成物の違い。地球は鉄類が地球の内部に多く熱によって溶けている。その鉄分によって35億年位前に地球に地磁気が発生した。その地磁気によって自転の速度が速くなっている。その地磁気によって太陽風、宇宙線など保護されている。

ガリレオの頃から太陽の黒点の発生数は観測されている。それによると黒点が増えてくると太陽活動は活発になる。黒点が少なくなってくると活動が衰える。今は黒点が少なくなって太陽活動が衰えている状態が続いているそうだ。太陽から照射される太陽エネルギーは活動が活発なときと衰えた時とは0.2%程度の差しかない。そこで太陽エネルギーによる地球の寒暖に違いは殆ど影響がないと考えて、それ以外の原因として保温効果があるCO2に注目されてのが1980年代のこと。CO2は増加している、温暖化していると50年ほどの一致した事実だけで、温暖化の原因はCO2という短絡的な結論で政治問題、お金儲けと走っているのが現状。

著者はそんな歴史、流れを冷静に説明した上でそれ以外の説もありますよということで、過去の寒冷化した観測データを示しながら、太陽活動の強弱と地球の寒冷化、温暖化に相関関係を説明している。あくまでデータと事実を示している。では原因はよくわからない。しかし著者の推測は太陽活動と太陽エネルギーの関係ではなく、太陽活動と太陽の地磁気の関係に注目している。太陽活動が弱いときは地磁気も弱い。そのとき地球に降りそそぐ宇宙線が低層の方に降りてきて水蒸気を、雲をつくり地球を寒くする。そんなメカニズムに注目している。

地球温暖化、寒冷化の問題というのは科学、物理の問題であるから、判らない時には判らないといえる科学者がやっぱり誠実な科学する人という気がする。それをさも判ったように騒ぎまくっている人びとは敬遠した方が良いのでは?そんなことを考えさせてくれる。西洋哲学に毒された人々は人間が何でも出来ると思い上がっているところがあって自然さえも人間が変えることが出来る。また未来の予測すら出来ると思い上がっている。銀河系、太陽系、地球規模は人間の手でどうこうすることのできないものでは?、地球に優しいなんて思い上がらないようにしよう。そんな気にさせてくれる良書です。

本書より
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地球環境の物理状態は太陽によってほぼ制御されており、太陽の存在を地球から切り離して、独自にいろいろな物理的過程を地球だけで進められるものだと考えるのはまず不可能なのだという重要な事実を私たちは確認しておかなければならない。地球は太陽なしでは、現在、私たちが経験している気候といった地球規模の現象を引き起こすことなど絶対に出来はしないのである。

現在私たちが自分たちの棲処としている地球は、太陽からの電磁放射エネルギーの大気中への流入と、水という保温効果抜群の物質との相互作用を通じて、この穏和な気象条件が実現されている。地球全体にわたる問題を考える際には人間など築いてきた文明による力など、取るに足りないのだという厳粛んま事実を私たちは忘れてはならない。