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虹の生涯

書名:虹の生涯(上)新撰組義勇伝
著者:森村誠一
発行所:新人物往来社
発行年月日:2004/03/01
ページ:362頁
定価:1900円+ 税

書名:虹の生涯(下)新撰組義勇伝
著者:森村誠一
発行所:新人物往来社
発行年月日:2004/03/01
ページ:347頁
定価:1900円+ 税

現役時代は出番が全くなかった元公儀御庭番和多田主膳、隠居してからは江戸城のお堀端で魚を釣るのを日課としていた。二百数十年続く平和な徳川の治世に、無意味な人生を過ごしていた。ある日、大老井伊直弼襲撃を目撃して、近くの大名、旗本もなすすべもなく何もしない。くすぶっていた武士の魂を燃え上がらせ、一人で討ち取られた井伊直弼の首を取り返してくる。「腐っても幕府直参」世は動乱の時代、京都から皇女和宮が徳川家茂に嫁ぐこととなる。この陰供を家茂直々に命じられた和多田主膳はかつての老御庭番の仲間と共に、京都へ。幕末から明治の動乱期の歴史にはどこにも彼等老御庭番は出てこないが、新撰組のエポックメーキング的な事件の裏には彼等の活躍が、戊辰戦争の裏にも、長岡藩、会津藩、五稜郭の戦いにも。陰の元公儀御庭番の動きが面白い。本当にあったような話に仕上げてある。森村誠一の新たな面を見せてくれる。語り部としてなかなか面白い。