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毛利は残った

書名:毛利は残った
著者:近衛 龍春
発行所:毎日新聞社
発行年月日:2009/6/20
ページ:325頁
定価:1800円+ 税

毛利輝元、関ヶ原の戦いで西軍の総大将、毛利元就の孫、小早川、吉川の叔父に守られて何も出来ない。しなかったリーダー、その輝元があれよあれよという間に西軍の総大将に祭り上げられてしまった。関ヶ原の合戦の西軍、東軍の陣地を後で見た軍略家たちはみんな西軍が絶対有利で勝つ布陣と分析しているが、なにもしなかった輝元のお陰で西軍は敗れてしまった。もっとも関ヶ原の戦いは石田三成という中小企業(28万石)の社長が、徳川家康という大企業との戦い。戦国時代が作ったドラマ。織田信長もやっぱり中小企業、今川義元を打ち破った。

関ヶ原の戦いが終わった後、いかに毛利家を残すように、眠っていた坊ちゃん大将が、徳川家康、本多正信などからの陰湿な工作(領地替え、城普請)に沈静に対応していく。負けて毛利が滅んでしまう土壇場になって、輝元も目覚た。
いかにして中国8ヵ国(120万石)の大大名から2ヵ国(29万石)への領地替え、部下をどうやって食べさせていくか?借財をどう返すか?輝元なりに生き残り策を実施していく。大阪夏の陣、冬の陣でも徳川方に、名門大名が没落していくなか毛利だけは残った。

本文より
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毛利の元旦の秘密の儀式
代々、毛利家の元旦、まだ暗い萩の一室に重臣の代表と当主が膝を突き合わせた。
「お屋形様、用意が整いましてございます。今年は公儀(幕府)を討ちましょうや」
重臣が問う。
「いや、まだ時期ではあるまい」