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銀の匙

書名:銀の匙
著者:中 勘助
発行所:岩波書店
発行年月日:1999/5/17
ページ:227頁
定価:460円+ 税

いまちょっとベストセラーになっている「奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち 伊藤 氏貴 (著)」に紹介されている。戦後、公立の滑り止めだった灘高でこの文庫本『銀の匙』だけを3年間かけて読むという空前絶後の授業を始めた橋本武という国語の先生、その教科書なき教え方で東大合格日本一に。
そんな話題につられて読んでみました。江戸時代の終わりから明治の虚弱の少年の成長物語。中勘助は少年になりきって少年の目、考え、感想を綴っている。当時夏目漱石が絶賛して、新聞に掲載されたとか。中勘助には残された作品は少ない。その中でも俊逸の作品。和辻哲郎が後書きを書いている。読んでみた感想ですが、特に良いとも思えない。淡々とした少年が成長していく過程が綴られている。また教訓的、説教などもなにもない。叔母に溺愛されながら成長する少年の目で見た世界を描いている。