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家、家にあらず 

書名:家、家にあらず 
著者:松井 今朝子
発行所:集英社
発行年月日:2005/4/30
ページ:325頁
定価:1900円+税


大名屋敷の奥御殿へ江戸北町奉行の同心・笹岡の娘瑞江は奉公に出た。幼い頃から「おば様」と呼んできた浦尾が勤める大名屋敷。母の死んだ後、年頃の娘を案じた浦尾が奉公を強く進めた。この奥御殿で起こる「世継ぎ」「お家騒動」を時代ミステリーとして仕上がっている。この著者の得意する役者の世界など詳しい。「家、家にあらず、継ぐをもて家とす。」風姿花伝。当時の家という概念、その中に生きる人々の必至の生き様が描かれている。きらびやかな奥御殿の中に次々と事件が起こる。話の展開が早くもなく、遅くなくすんなりとリズミカルで読んでいて爽やかな感じがする。松井今朝子も注目する作家では。
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家、家にあらず、継ぐをもて家とす。
人、人にあらず、知るをもって人とす。 「風姿花伝」