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悪魔の種子

書名:悪魔の種子 
著者:内田 康夫
発行所:幻冬舎
発行年月日:2005/11/20
ページ:377頁
定価:1700円+税

長岡農業研究所には「水稲農林1号」を育成した新潟農試・並河成資技師の銅像が置いてある。出勤してくるとその像に向かって祈っている研究所の職員西見がいた。昭和初期の農林1号によって日本の飢餓が無くなったと言われている画期的な種で、コシヒカリ、ササニシキもこの子孫です。ちなみにコシヒカリは「農林100号」。並河成資技師は京都府亀岡市の出身。この農林1号の成功で岡山県農業試験場に栄転して小麦の品種改良に従事したが成果が上がらず、41才で自殺してしまった人。この物語はお米の品種改良を題材に起こる連続殺人事件に名探偵・浅見光彦が挑む。

続・日本の「農」を拓いた先人たち (社)農林水産技術情報協会
http://www.afftis.or.jp/senjin2/2.html

茨城県農業研究所の職員が、秋田・西馬音内盆踊りの最中に踊りの中に夢遊病者のように飛び込んで、踊り手の前で倒れて死んだ。その3週間後、長岡農業研究所の職員の水死体が、茨城・霞ヶ浦で上がった。この職員の同僚が犯人と目された。職員の知り合いから浅見家のお手伝いさんの須美子に犯人に間違えされそうになっている人を助けて欲しいと依頼がが入る。光彦の取材、調査によって「花粉症緩和米」が事件の鍵だと直感する。

遺伝子操作で、何百億もの利益を生む「花粉症緩和米」を密かに実験田を求めて製薬会社が暗躍する。神の領域を侵す禁忌が殺意をもたらす。浅見光彦の活躍が、手がかりのない事件を解く。福井地震、新潟中越地震などもこの物語に重要な位置づけとして置かれている。なかなか読み応えがあった。遺伝子操作など判りやすく書いている。「花粉症緩和米」は1700万人と言われる花粉症患者の救いとなるか?それとも既存のマスク、ティッシュぺーパー、医師などの商売を邪魔をするか?花粉症が克服されると、当然既存の利権は無くなってしまう。そんな対立点を旨く物語りにしている。お米は農林省。でも花粉症緩和米は医薬品?厚生省。縄張り争いもありで面白い。日本製紙が実用化に向けて研究試料を栽培しているようです。

実用化に向け「スギ花粉症緩和米」の研究試料を栽培 ~小松島工場内に閉鎖型温室を建設~
http://www.np-g.com/news/news06090601.html