書名:非道、行ずべからず
著者:松井 今朝子
発行所:マガジンハウス
発行年月日:2002/4/18
ページ:430頁
定価:1900円+税
「非道、行ずべからず」「家、家にあらず」「道絶えずば、また」の三作の一冊です。松井氏は「花伝書」シリーズと称しています。
この道に至らんと思はん者は、非道を行ずべからず (風姿花伝)
「一つの道を極めようとする者は、決して他の道に迷ってはいけない。」・・・役者の道を行く者を戒めるこの言葉が、物語展開のあちこちに隠されている。
文化六年正月の火事で炎上した中村座の焼け跡で、一人の男の死体が見つかった。火事で死んだのではない男の死、そして中村座では次々と人が死ぬ。自殺か他殺も良くわからない。中村座の関連者の中にも不穏な動きが、座元の中村勘三郎、圧倒的な芸の力で、一座の中でも絶大な発言力を持つ立女形・沢之丞。沢之丞の二人の息子~大人しく芸にそつのない兄・市之介に、華やかだが我侭勝手な弟・宇源次。歌舞伎の世界に生きる人々の生き様を映しながら物語は展開する。
歌舞伎の世界のミステリーです。