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幕末あどれさん

書名:幕末あどれさん
著者:松井 今朝子
発行所:PHP研究所
発行年月日:1998/9/25
ページ:451頁
定価:1900円+税

旗本の次男坊久保田宗八郎は幼い頃両親を亡くし、家督を継いだ兄主馬と暮らしていた。主馬は父をついで小納戸役(将軍の身の回りの世話をする)として勤めていた。上司の遠縁の娘寿万と夫婦になる。陽気な寿万が久保田家に迎えられてから家の中は明るくなる。周囲となじめない宗八郎も遠慮のない寿万に段々、実の姉弟のようになる。
3年後、講武所の剣術師範役男谷精一郎が道場主を務める道場で剣の腕を磨いていた。

時代は黒船来航により、旗本の次男・三男や御家人であっても武芸に秀でていれば、武官として幕府に仕えられるという噂が広まっており、宗八郎は喜んで道場通いを続けていた。宗八郎は思うところがあり家を出て一人暮らしを始め、道場に通うようになったある日、宗八郎は剣術そっちのけで政治について論議する兄弟子と喧嘩し道場を飛び出した。評判の作家河竹新七のであると弥市郎から話を聞き、宗八郎は新七に自宅に出向き強引に弟子入りしてしまう。
旗本の次男坊が幕末、明治維新の激動の時代に翻弄されながら生きていく物語。あどれさんとはフランス語の若者達という意味だそうだ。