書名:非常の才
肥後熊本藩六代藩主 細川重賢
藩政再建の知略
著者:加来 耕三
発行所:講談社
発行年月日:1999/11/25
ページ:355頁
定価:1800円+税
一般にリストラと呼ばれるものは首きり、左遷人事、経費節減だ。益々消費マインドは冷え切り、家族関係もぎくしゃくしたものになってしまった。能力別給与、年功序列の破壊、年棒制への移行・・・会社への忠誠心など持ち得なくなってしまった。むしろ会社を利用する風潮、裏切って当たり前。はたしてそうであろうか?
歴史の世界では上記のようなリストラ以外の方法で見事に成し遂げた例もないではない。そんな例の一つに有名な出羽米沢藩主上杉治憲(鷹山)の行った藩政改革は一人の首切りも出すことなく、倹約と士気を高める教育によって一応の成果を上げた。
この上杉鷹山が手本としたより独創的で極めて特異な手法を用い、藩政改革(宝暦の改革)を成功に導いた細川重賢がいる。この本はこの250年ほど前、三百諸藩の中でも最悪と言われる窮状だった肥後熊本藩54万石の藩主。
「非常の人あり、然る後、非常の事あり。非常の事あり、然る後、非常の功あり」
(非常な人があって、はじめて常人の思いも及ばないことがあり、そうした非常のことがあって、はじめて非常の功績もあがるものだ。)
平時では役に立たないが、非常事態になれば力を発揮する”非常の才”を大胆不敵に抜擢・登用したところこそ、その成功の秘訣があった。これは出来るようで出来ない。既存の勢力をどう封じ込めていくか?藩主とはいえ家臣から座敷牢に幽閉された例も多い。
世の中に藩政改革を行った、成功したという例は実はあんまりない。松前藩の恩田木工「日暮硯」など事実とは全く違う。天保の改革、享保の改革、寛政の改革、江戸時代の三大改革も成功したとは言えない。
細川重賢はほとんどの人に知られていない人ではないでしょうか?