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花開富貴

書名:花開富貴
   横浜中華街繁盛記
著者:加藤 文
発行所:文藝春秋
発行年月日:2002/8/30
ページ:482頁
定価:2095円+税

昔、唐人町、南京町と呼ばれた横浜中華街。昭和30年に正式に横浜中華街と命名されてその後中華街と呼ばれている。元々外国人居住区として発展してきた山下町、関東大震災で西洋人が大挙引き上げてしまった後中国人が多く住むようになった。中華街は地形の関係で周辺の土地とは45度違って造られている。中国人にとっては風水の関係で東西南北の街が気にいったようだ。
太平洋戦争後の南京町に一人の上海出身の女性王英という人の半生を中華街、華僑、世界の動きを背景に描いている。終戦後、華僑は戦勝国側で日本国内は物資不足しかし南京町には潤沢に物資が満ちていた。それまで貿易関係の仕事をしていた華僑が、この物資を利用して中国料理店を開いていく。王英も夫と共に中国料理店を経営していく。汚い怖い街南京町が定説だった。
王英の才覚で中国料理店を大きな店に発展させていく。途中日中国交樹立に伴って中華街住民の間に中国派、台湾派の対立。中華学校の分裂の危機。関帝廟の消失。関帝廟の再建の為の資金集め。難問を一つ一つ超えて異国で一生を終える一人の女の半生をダイナミックに描いている。横浜中華街は知っていても歴史などは全く知らなかったので興味を持って読んだ。