書名:すらすら読める論語
著者:加地 伸行
発行所:講談社
発行年月日:2005/11/11
ページ:254頁
定価:1600円+税
論語というのはポピュラーな書で誰でも知っている。しかし本当に読み込んでいる人は居るか?この本は声を出して読める論語です。論語には「君子」と「小人」というのが出て来る。この本では「君子」を教養人(生涯を通じて知性と徳性とをともに磨こうとする人。「小人」を知識人(知的訓練を持って世の最高と勘違いしている人。特に高学歴者に多い)と定義して論語を訳している。この視点で論語を読み直して見ると今まで見えなかったものが見えてくる。現代のような混沌とした時代今一度古典に還るのも意味のあることではないかと思う。
世界の平和とか、環境問題、温暖化問題、世界の貧しい人を救おうとか・・・大きなテーマは抽象的でありどうして良いかわかりにくい。それよりは自分が今すぐでも可能な身辺の問題について徳性を磨くことが大切ではないか?親・配偶者・子どもこの三者を愛することによって世の犯罪の大半は消えるであろう。現代の教育をみると知的訓練が中心になっている。小人を世に送り出すことになっいる。論語の視点から見るとそれよりは徳性を磨く必要がある。
子曰く、君子は義にさとり、小人は利にさとる(教養人は道理を理解し、知識人は損得を理解する)
子曰く、君子は諸を己に求め、小人は諸を人に求める(教養人は責任を自分に求めるが、知識人は責任を他者に求める)