書名:言志四録
著者:佐藤 一斎
訳者:久須本 文雄
発行所:講談社
発行年月日:1995/11/30
ページ:913頁
定価:4369円+税
本書は江戸後期の学者佐藤一斎の「言志録(246条)、言志後録(255条)、言志晩録(292条)、言志てつ録(340条)」をまとめて言志四録と呼んでいる。一斎が42才に書き始め82才まで掛かって書いている。この書は随筆風の記述で、文章は簡明直裁で、人の肺腑を突く感じで実に簡明深い。「論語」「孟子」「中庸」「大学」、「易経」「書経」「詩経」「礼記」などの四書、五経からの出典が多い。処世術や教育などを中心に自己の修養の糧として座右において読み返してみたい本です。
佐藤一斎の一番強調していることは書を読むことは必要だが、それよりも大事なのは実践。一斎のころでも理屈ばかりが達者になって机上の学問ばかりと嘆いている。晩年のころになると年寄りの生き方について示唆される言葉が一杯あります。大著ですが座右に於いて好きなところを開きながら読むのも良い本だと思います。
現代人にベーシックな教養として「言志四録」、「菜根譚」などは是非とも知っていて欲しい。66年前には常識だった四書五経。今は誰も知らない。もったいないことです。古い書ですが、中身は何時までも新鮮な内容だと思います。感動しながら一気に読んでしまった。この本は明治維新で活躍した人々も当然読んでいます。西郷隆盛などはこの書から101条自分用に選集し直して「南州抄言志録」として常に手元に置いて読んでいたとか。
本書「序言」より
---------------------
言志四録は、修養の糧として、処世や教育の心得として、「菜根譚」とおなじく感銘深いこころの書であり、助言集である。簡明直裁にして人の肺腑を衝くおもむきがあり、我が国における語録中の白眉である。